インド進出日系企業への円安の影響は限定的【ニューデリー発】

急激な円安が始まった 2014 年 10 月中旬の対インドルピーレートは、100 円=58 ルピー前後
であったが、今年 1 月前半には 100 円=53 ルピーにまで落ち込み、僅か 2 カ月余りで 10%近い
円安になった。円の独歩安は対ルピーに対しても当てはまり、ドル・ルピー相場との対比で見
ればその値動きは一目瞭然だ(表参照)。ドル・ルピーは、ルピー安傾向ながらも、比較的安
定して推移している。

インド経済短信409号

<円安の影響は限定的で、企業の関心はドル・ルピー相場に>
対ルピーでも進む円安について、ジェトロ・ニューデリー事務所が昨年 12 月、インド進出日
系企業に対してヒアリングしたところ、「インドにおいては円安の影響は限定的」であるとす
る声が最も多かった。
完成車メーカーA 社は、「コスト削減の観点から現地調達率の向上に日々取り組んでおり、
輸入する部材は減っているため円安の影響は小さい。一部、日本から輸入する部材のコストは
下がるが、分量が少ないので大きな影響は無い。」とした。電機メーカーB 社も「基本的に部
材は現地調達している。輸入に頼らざるを得ない部材についても、その 99%が ASEAN 等日本以
外の国からドル建てで輸入しており、円安による直接的な影響はない。コスト要因となり得る 為替のリスクを排除するサプライチェーン作りをしてきた結果だ。」と述べる。その他の電子
機器や機械メーカーからも「円安の影響は軽微」とする趣旨のコメントが複数寄せられた。
一方、自動車部品メーカーC 社は「現在、部材の 8 割程度を日本から円建てで輸入しており、
円安のメリットを享受している。しかし、販売先との価格交渉では値下げを持ちだされる可能
性がある。」とコメント。さらに化学品メーカーD 社も「日本からの輸入が大半だが、既に顧
客からの値下げ要求が始まっている。」としており、円安による価格引き下げ圧力が高まりつ
つある実態が明らかになった。また、業界を問わず、多くの企業がドル建てで輸入を行ってお
り、「円相場よりも、ドル・ルピー相場を注視している。」とする声も多く聞かれた。
今回のヒアリングでは、日本からの追加設備投資についても尋ねたが、「現状追加投資は予
定していない」、「投資については本社マターなので現地法人ではコメントが難しい。」とす
る声が多く、実際の影響の度合いは現地では評価しづらい。一方、日系商社 E 社は、「投資そ
のものが将来の為替リスクを踏まえた上の判断であり、目先の為替でその判断がぶれることは
ない。」とコメントした。

(インド経済短信 第409号)