製造業は高成長、一層の消費拡大に期待

インドが高成長の軌道に戻りつつある。2014 年度は製造業が好調であった。今後は、民間消 費の一層の拡大が期待される。しかし、2015 年度はモンスーン期の降雨量の減少が予想されて おり、インフレの再燃や農村部の需要減退などが懸念材料となりそうだ。

 

<高成長達成への予感>

中央統計局(CSO)は、2014 年度第 4 四半期(2015 年 1~3 月)の実質 GDP 成長率(2011 年 基準※)を 7.5%と発表した。これにより、通年の実質 GDP 成長率は 7.3%となり、基準年変更 後の成長率としては 2012 年度以降で最も高い成長を記録した。

今般の発表を受け、ジャイトリー財務相は「景気は回復基調にある。製造業やサービス業の 成長を見れば、我々には 8-9%の成長を達成できる潜在能力があることは明らかだ」と今後の 成長に自信を見せた。また、財務省のスブラマニアン首席経済顧問は「供給側(産業部門)の 数値が堅調に改善しており、非常に勇気づけられた」と述べる。

一方、産業界の声を代表し、インド工業連盟(CII)のバナジー事務局長は「投資が改善して いるのは数字を見れば明らかだ。今後は需要に弾みがつくことを期待する。」と語る。また、 インド商工会議所連盟(FICCI)のシン事務局長は「景気減速につながる要因が消え去っていな い。例年を下回る可能性のあるモンスーンが農業の成長に悪影響を及ぼす可能性があることに 加え、民間需要がより速いペースで拡大する必要がある」と慎重な見方を示した。

(※)2015 年 1 月、政府は GDP 成長率算出に際して用いる基準年を 2004 年から 2011 年に変更 すると伴に、GDP の数値自体についても、従来の供給側統計(要素費用ベース)から、 国際的に多く用いられる需要側統計(市場価格ベース)に切り替え、2012 年度以降の GDP を再計算して公表した。なお、供給側統計は GDP とは別に「総付加価値(GVA)」と して発表されている。

 

<製造業は高成長、一層の消費拡大に期待>

2014 年度の GDP を需要項目別にみると、GDP の 6 割弱を占める民間消費支出が 6.3%増となり、 前年実績 6.2%増を上回った。インドの経済成長の原動力と言える民間消費の一層の拡大が期 待される。輸出は外需の不調で前年度の 7.3%増から一転、0.8%減と落ち込んだ。輸入も 2.1%減となり、前年実績 8.4%減からさらに減少した。一方、総固定資本形成は 4.6%増と好 調で、特に 1 年振りの利下げが行われた第 4 四半期は 8.2%増と大きく伸びた。

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一方、産業部門別成長(GVA:総付加価値ベース)を見ると、製造業が 7.1%増を記録。特に 第 4 四半期は 8.4%増と通年の成長率を押し上げた。「メイク・イン・インディア」の掛け声 の下、製造業の振興を掲げるモディ政権には朗報だ。また、サービス産業部門の成長率も総じ て高く、なかでも金融・不動産・ビジネスサービスが 11.5%増と経済をけん引した。一方、農 林水産部門は、モンスーンの遅れによるカリフ作物の収穫量減少などを主因に 0.2%増の成長 にとどまった。

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政府は、2015 年度の実質 GDP 成長率について「2014 年度経済白書」(2015 年 2 月発表)の 中で、8.1-8.5%と予測している。仮にこれが実現すれば 2010 年度来の高成長となる。一方、 インド準備銀行(RBI)は 6 月 2 日、インフレの落ち着きを踏まえ、政策金利を 7.25%に引き 下げた。しかし、2015 年は 5 月以降、インドは記録的な熱波に見舞われ、続くモンスーン期の 降雨量の減少が懸念されている。気候不順による農作物への影響は農業部門の成長のみならず、 インフレの再燃、農村部の需要減退にも直結するため、注視が必要だ。

(JETRO インド経済短信419号)