カルナータカ州政府、日系企業向けにプロジェクト支援制度を導入

カルナータカ州政府は、既進出日本企業が抱える問題解決を効率的に実施するため、日本 の政府機関・商工会と連携し「プロジェクト支援委員会:Project Facilitation Committee (PFC)」を開催している。日本企業にとって緊急性の高い、土地収用に関する問題では、問 題解決の事例も見られる。

 

<企業が抱える工業団地の諸問題を解決する場>

PFC の特徴は、問題を抱える日本企業(申請者)と、州政府工業団地担当者(担当者)を参 加させ、双方から事情を聴取し、解決策をその場で、州政府産業コミッショナーが指示する ことにある。例えば、土地収用の許認可手続きが遅延している場合、申請者が現状を報告し、 担当者が遅延理由を説明する。仮に原因が州政府側にあると判断されると、コミッショナー が期限を設定して、許認可を終了させるよう担当者に直接命令を下すというものだ。

これまで、カルナータカ州に進出した日系企業は、工業団地に関する諸問題や要望につい て申し立てをする場合、各窓口担当者に問い合わせるか、州政府商工省に直接陳情するしか 方法がなかった。しかし、担当者レベルでは責任の所在が不明確であり、申請手続きの進捗 状況確認や、滞っている原因を突き止めることが困難であった。また、同省としても直接問 題を持ち込まれても、その都度、関係者に事情を確認しなければならず非効率であった。そ こで日印の関係者が一度に集まり、問題解決のために設置されたのが PFC である。

PFC の構成メンバーは、日本側が、在ベンガルール(※)領事事務所、バンガロール日本商工 会、ジェトロ。州政府側は、州政府商工省、カルナータカ州工業団地開発公社(KIADB)、カ ルナータカ州投資庁(KUM)の工業団地関係機関である。PFC は原則月 1 回、KUM の会議室で開 催され、各メンバーの責任者が原則全ての会議に出席、案件ごとに申請者と各担当者が参加 する。各申請企業の案件ごとに会議が持たれ、他案件の申請者は同席できない。これまでの PFC では、1 回の委員会につき 5 社~6 社の日本企業が申請者として参加している。参加を要 望する企業は、事前に PFC 事務局であるジェトロに問題や要望を記入して案件申請書を提出 する。ジェトロは、州政府側と調整し企業の順番を決定し関係者に連絡する。

 

<土地収用の許認可手続きを迅速に解決>

PFC は 2014 年 9 月に第 1 回会合が持たれ、2015 年 5 月までに計 7 回開催された。これまで 延べ 26 社が参加している。提出された申請案件をみると、土地収用に関する問題や要望が多 い。具体的には、土地所有証明書(Possession Certificate :PC)、工場建設許可(Consent for Establishment :CFE)、土地割当書(Allotment Letter :AL)、州政府通達(Government Order)の遅延が挙げられている。PFC を通じて、これらの許認可手続き関連問題が、迅速に 解決されるようになった。その他には、道路、電力、水供給施設(パイプライン)設置等の インフラ整備の遅れや、土地収用後、住民が立ち退かない、工場建設の妨害があるなど複雑 案件も PFC で対応されている。

 

 

<PFC がもたらす効果>

PFC について案件を申請した日本企業は、「これまで許認可が遅れていたが、工事の期限に 間に合った」、「希望区画が取得できて助かった」、「直接、州政府関係部門に要望、討議 6 できる仕組みを確立できた」、と高く評価している。州政府としても、企業の要望に応える ことで、州政府への評価が高まることから PFC 開催に意欲的である。

PFC は日本企業・州政府の当事者間の意思疎通の円滑化にも役立っている。日本企業にとっ ては、申請手続きの進捗やインフラ工事の遅延原因がわからない場合があるが、各責任者の 前で担当者に直接状況を確認できるようになった。また、申請案件の中には、州政府や工業 団地関係機関では解決できないこともあり、州政府側から日本側に対し、事情を説明して理 解を求める場にもなっている。また、工業団地関係者側にも良い影響を及ぼし始めている。 PFC に出席した担当者やその責任者が州政府から遅延について叱責されているのをみて、これ まで担当者任せだった案件を自ら把握し、責任者自ら状況を説明するようになってきたこと や、企業から申請される前に問題を処理する動きが出ている。

さらにビジネス環境整備の機能も果たすようになってきている。例えば、AL 及び土地リー ス契約では、土地価格は暫定価格(Tentative Premium)と明記されており、契約後に追加の土 地費用が発生する可能性がある。日本側から本項目を削除すべきであると PFC で要望したと ころ、州政府としては現時点では変更できないものの、契約の見直しを示唆する発言があり、 州政府への政策提言の場になりつつある。

ここ数回の委員会では、単純なミスや担当者が怠っている理由等での許認可の遅延は少な くなってきているものの、各工業団地のインフラ整備では解決すべき課題や環境関連許認可 等、州政府を介しての中央政府への申請手続きなどの問題が残されている。PFC は、これら課 題や要望について、州政府に直接発言できる手段として、今後も重要な役割を担っていくと 考えられる。

 

 

(JETRO インド経済短信418号)

 

 


Anal